【柔道の魅力 井上靖】
柔道のすばらしさは、相手との闘いであると同時に、自分自身との闘いであることである。
自分自身に克たずして、どうして相手を倒すことができよう。
柔道の美しさは、いかなる勝負も、それが成立した瞬間消えてしまうことである。
技をかけた。相手が飛んだ。 ― 瞬間、それは消えて、跡形もない。
勝ちと負けは、単なるその結果であるに過ぎない。
柔道の勝負は本来生死の問題である。スポーツではない。
生死を賭けた対決であり負けることは、死を意味する。
だから、柔道の試合においては、どうしても勝たなければならないのだ。
柔道は本来自己防衛の技として生まれ、成立した受身である。
相手の攻撃の力を利用して、相手を倒す。これほど謙譲な、しかもこれほど強靭な体技はない。
どこからでも攻めて来い、それを待っている。
柔道は本来非エリートの体技である。非エリートがエリートを倒し、自らがエリートになる体技である。
柔よく剛を制す。これほど柔道の本質を言い現わしている言葉はない。
柔道のすばらしさは、自分より強い者に向かって、必勝の精神を持つことである。
勝つことに自己のすべてを賭けずして、なんの柔道ぞや。
なるほどー。
半分共感。半分「?」かな。
面白いのが載ってたので引用してみました。